一日が過ぎるのなんてあっという間だった。
わたしは跡部として一日を過ごした。
表面上はとても嫌がっていたけど本当は・・・・・ちょっと嬉しかったかも。
C H A N G E !
跡部の迎えがきて、わたしと跡部はその車に乗り込んだ。
跡部はわざと喋らなかった。たぶん怪しまれないように。
車の中でも一言も会話をせず、
張り詰めた空気の中、わたしはひたすら外を見つづけた。
この緊張感が少しでも外に出てくれればいいな、なんて思いながら。
跡部の家に着くと、メイドさん達がわたしに頭を下げていく。
わたしは跡部をちらりと見やった。何だか複雑な心境。
今朝出てきたばかりの跡部の部屋に着くと、無言のまま座る。
わたしはソファーに。跡部はベッドに。
「跡部?どうしたの?黙って」
「あぁ・・・・・何でもねぇよ」
それにしては静かだな、と話す気配のまったくない跡部を見つめた。
わたしの恰好をして俯くその姿。
「なんか、さ。」
「あん?」
「わたしもそうやって大人しく座ってればちょっとは見れる顔じゃない?」
跡部は訝しげに眉を寄せてそうか?と言った。
「まぁ跡部と並んじゃうと引けちゃうけどさ」
まぁな、と自信たっぷりに言うかと思ったらまた黙ってしまった。
どうしたのだろうか、本当に。
「その・・・悪かったな。今日」
「え?なにが?」
言ってる意味が分からなくて、首を傾げた。
謝るような事なら、わたしにあるはずだ。
だってあんなに迷惑をかけた。
「告白、勝手に断っちまって」
今日のお昼の事を思い出す。
あぁ、あのことかと納得したけど別に本気で怒ったわけじゃない。
そう言えばとわたしはカバンを開けた。
「コレ。渡さなきゃと思ってたんだ」
それはわたしが朝受け取ったラブレター。
跡部はちらりと見たが、受け取ろうとしなかった。
「いらないの?」
俯いた顔をしばらく見てると、小さく言葉が聞こえた。
「好きな女から以外の物は受け取らねぇよ」
わたしは突き出したままの手紙をどうしたものかと迷っていたが、
ソファーの上に置いた。後で読むかもしれない。
けど本当は捨ててしまいたかった。
受け取りたくなんてなかった。いらないと言う一言がどうしても出なかったのだ。
この人もわたしと同じように恋をしている。
切ないとか嬉しいの気持ちを知ってる。
そう思うと無碍にはできなかった。
「わたしだって好きな人以外からの告白は断ろうと思ってたから。別に怒ってないよ」
そう言うと、ようやく顔を上げた跡部と目が合った。
「へぇ、誰だよ好きなやつって」
「跡部こそ誰よ」
質問を質問で返して、また沈黙。
これでは埒があかない。わたしは口を開いた。
「じゃあせーので言おう」
「そんな子供騙しみてぇな・・・・」
「言えないの?」
「・・・・わかったよ」
せーの!
「「今日入れ替わった人(奴)!!」」
言ってからわたしは驚いて、嬉しくて、何だか分かんないけど笑った。
跡部も同じような顔をしていた。正直言って微妙な顔。あ、わたしの顔だった。
跡部はすっと立つと、わたしの座っているソファーに近づいて来た。
そして隣に座ると、顔に手を伸ばしかけた・・・・・が。
「自分相手にこんな事すんの萎えるな」
わたしもうんと頷いて、可笑しくて跡部の肩に頭を乗せてくすくすと笑った。
自分で言うのも変だけど、この時始めて自分の抱きごごちというのを知った。
それも結構悪くはない。
跡部にそう言うと、鼻で笑ったあと
「楽しみは後から・・・ってな」
そう言ってソファーに頭を預けた。
今夜眠ったら明日はきっと元の自分に戻っている。
確信はないけど自信はあった。
これは神様がくれたチャンスだ。
中々素直になれないわたしたちに業を煮やしてくれたチャンス。
広いベッドに小さく横になりながら、
今度は跡部と一緒に寝たいな、なんて考えていた。
明日も君に会える。
the end.....?
♪♪♪
ハイ、これにて終了です。
読んでくださった方ありがとうございました。
最後の締めがちょっと強引でしたね。
けど書いてて楽しかったのでいいです。
感想などいただけたら嬉しいです。
今度は違うキャラでやりたい。
氷帝以外の誰かで・・・・。
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おまけ