閉じ込めた気持ちは君しか見せない 君にさえ見せられない気持ち この胸に咲き乱れた花たち 捧げたら君は喜んでくれるでしょうか? 好きだよ 水分を空気に取られてカラカラに渇いてしまった葉っぱが落ちる。 ひらひらと舞い落ちる様はとても綺麗なのに、落ちた瞬間寂しくなるのはどうしてだろう。 教室の一番隅で知らない人のイスを借りて外を眺めていた。 景吾を待つのはいつもの事だった。 こんな寒い外で走り回ってるのかな。 前に寒くないのかと聞いたら笑って言ったっけ。 「お前とは違うんだよ」 セリフはとても突き放した言葉なのに、そう聞こえないのは。 その後握ってくれた温かい手のせいだと思った。 「待たせたな」 ピンと張った空気に入り込む。いつだってそうだ。 「大丈夫、外見てたから」 景吾はいつだってわたしを安心させてくれる。 窓際に肘をついていたわたしの後ろに来た景吾。 何を見てたんだ?と窓を覗き込む。 わたしの背中と景吾の体がくっつく。 「最後の一枚が落ちちゃったな、と思って」 「あぁ・・・・」 景吾は下を見ると、敷き詰められている落ち葉を見た。 「なんか寂しいね」 「また来年生えてくるんだろ」 落ちては新しく生まれて、同じように見えても違う。 立ち上がった景吾に合わせてわたしもイスを元に戻した。 もう一度外を振り返る。すっかり裸になってしまった一本の木。 やっぱり寂しい気持ちは消えなくて。 寒いね、と呟いたら景吾が振り返って手を伸ばした。 「帰るぞ」 「うん」 重ねた手には何も言葉はいらなくて、わたしはずっと黙っていた。 わたしが寂しくても嬉しくてもこの手の温かさは変わらないんだな、と。 それがとても嬉しくて、胸の真ん中が熱くなった。 言葉がなくなってしまっても、この気持ちを伝えられる。 わたしには手もある。目もある。体がある。 「景吾 ------ 好きだよ」 振り返った優しい目に綻んで、笑った。 あの木が緑に染まる時、また一緒に眺めたいと思った。
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