学校に来てすぐ、屋上のベンチの上 真上を向いたまま微動だにしなかった。 下から聞こえるのは、最愛の人を祝う言葉ばかり。 言うはずの言葉は、流れて消えた。 さすらいの途上 いつもより早く学校に着くと、テニスコートの周りは人だかりだった。 バックに大事にしまい込んだプレゼントは、お弁当の下敷きになった。 靴を履き替えると、屋上に駆け込んだ。 「景吾のばーーか」 お気に入りのベンチは、相変わらず綺麗なままだ。 景吾とわたしだけが使える特別仕様のベンチ。 今日はたった1人で座って、空を見上げる。 何でも一番がよかった。景吾に関係する事すべて。 地面に届かない足をぶらぶらさせていると、真上を鳥が通った。 そのまま見上げ体をのけぞらせると、延長上に景吾の顔が見えた。 「なにやってんだ、お前は」 額をぺちりと叩かれると、景吾は隣に座った。 足を組んで、地面にしっかりと足をつけたまま 真上を見上げた景吾は目を瞑ってため息をついた。 「プレゼント貰ってこなかったの?」 「まぁな。どこかのお姫様が機嫌を損ねるから」 景吾を見上げると、やっぱり真上を向いたまま目を閉じていた。 別に機嫌を損ねていたわけじゃない。 気に留めてほしかっただけだ。今日くらいは。 膝の上に乗せられた鞄から、プレゼントを取り出す。 お弁当をひっくり返さないようにそっと取り出した。 「あげる」 小さな箱を突き出すと、景吾はやっと目を開けた。 そして、目だけでわたしを見る。 片手でそれを受け取ると、景吾は顔を顰めた。 「何かあったかけぇぞ」 「あー……うん。あっためといたの」 「弁当臭いのもわざとか?」 そこはスルーで、開けてみてというと景吾は紐を解いた。 景吾の為に選んだのは、ペアのリング。 わたしは既に指にはめている。 ドキドキしながら自分の指を眺めていると、横から手が出てきて わたしの指輪を抜き取った。 そしてうやうやしくわたしの手を取って、指にはめた。 「俺が次にはめるときまで絶対に外すなよ」 これじゃあ逆だ。今日は景吾を喜ばせてあげようと思ったのに。 「-------……」 指輪にみとれていると、景吾がわたしを呼んだ。 首の後ろに手をあてて、近づいてくる唇を受け入れた。 猫のように気高い。気位の高いあなただから。 こんな日は、わたしのことを思って探して。 空に近い場所で、あなたを思って待ってるわたしがいるから。 ***** HAPPY BIRTHDAY!景吾! 彼女を探しにやってくる跡部を 書きたかった。あいつは…とかなんとか言いながらも 屋上にいる彼女を見つけた跡部が嬉しそうに笑うのがツボ。 間に合ってよかったです。 04/10/4
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