熱血少年 「ジロー!帰るぞ!」 岳人の声に顔を上げると、ジローがコートにいた。 「がっくん、まだ帰らないの?」 練習はとっくに終わってしまった。 跡部も宍戸も忍足も帰った。 ジローが珍しく特訓をしたいと言うので、岳人が付き合っていたのだ。 「で?ジローはまだ帰らないって?」 「アイツはたまにやるからダメなんだよ」 「まぁね、いつもは寝てるから」 岳人が口を尖らせていうので、わたしは噴き出した。 「笑ってる場合じゃねぇよ。こっちの身にもなれっての」 「ごめん、でもさジローはたまにメチャメチャ練習するから」 「いつも熱血なら分かるけど、宍戸みたいな、さ。」 「宍戸は根っからの熱血少年だよね」 「それに付き合ってる長太郎もすげぇけど」 「うん、かなり尊敬してるみたいだし」 「アイツはなぁ……」 「たまの熱血少年ほどやっかいなものはないからね」 二人でコートを眺めていると、サーブ練習していたジローが顔を上げた。 「がくとー!もう練習やんないのー?」 「もう俺は帰るのー!」 「えー!じゃあやろうよ」 「わたしはラケットも振れませんから」 「なーんだよ、つまんねぇの」 「ジローはいつも練習しねぇからそうなるんだよ」 「だってさぁ……」 ぶーと頬を膨らますジローを見て、わたしと岳人は目を見合わせた。 しょうがない、最後の手段だ。わたしはうん、と頷いた。 「じゃあジロー!帰りにケーキのバイキング行こうよ」 「ジローの好きなケーキが出る日だろ?」 ジローはうーんと考えた後、行くと頷いた。 ひとまず1日限りの熱血少年は、大人しくケーキバイキングに行く事になった。
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