何でも屋 「ここ・・・・・なんだけどよ」 ブン太はジャッカルを見上げた。 「怪しそうだな」 ジャッカルは隣を向いた 「あぁ、全くだ」 柳は前を見据えている 「でもあるんスよね?」 赤也は真田を見た 「あまり気が進まないが」 真田は心持ち俯き 「でも俺らん為やろぉ?」 仁王は笑い 「ですがこんな事は・・・・」 柳生はメガネを直した 彼らが見上げる先には『何でも屋』と称する看板が。 それはうそ臭くもあり、外観からするにそのままの印象も受ける。 「ぼったくりとかだったらどうすんすか?」 「でもよ、前にココで買って・・・・」 「お前買ったのか!?」 「俺じゃねぇよ!知り合いが買って」 「どうなったんすか?」 「まぁ・・・・・大成功ってやつだよ」 全員が息を呑んだ。 「よし、では入るぞ」 真田が意を決して扉に手をかける 「待て、弦一郎」 「なんだ?」 「お前達分かっているな」 柳が全員を見据えた。 首を縦に振る面々。 『試合で勝った者がその権利を得る事ができる』 柳はよし、と頷くとでは行こうと言った。 真田が扉に手を掛け、中を恐る恐る見る。 「変なバァさんとか居ないスか?」 「うむ、いたって普通だ」 「では先に進め、弦一郎」 その狭い店に、男たちが次々と入っていく。 中にいた怪しげな店番は、ちらりと彼らを見ると、 慣れているのか特別気にした風もなくボコボコと泡を立てている液体に、 別の液体を混ぜている。 「何を・・・・作っているんでしょう?」 「さぁな?でもココの店俺は好きやね」 「仁王くん何を」 「おや、パートナーの考えてる事も分からんか?」 柳生は俄かに顔を引き攣らせ、笑顔を貼り付けたパートナーを見た。 だがそれはブン太の声によって中断されるが。 「お!あったあった!」 手のひらサイズのビンを手にしたブン太が全員を呼ぶ。 彼らはブン太の周りに集まった。 「これが・・・・・」 真田が食い入るように見ている。 それを赤也が訝しげな目で見つめていたが、無理もない。 『惚れ薬』 ラベルに赤の文字でそう書かれていた。 「じゃあ全員で決めた金額でいいな?」 頷く彼らを確認して、ブン太はレジへと向かった。 「ついに買っちゃいましたね・・・・」 「あぁ・・・・だがに気が付かれずに飲ませるには」 「それは勝った奴が決める事じゃないスか」 「それはそうですが・・・・」 ------。 テニス部マネージャーにして部員の憧れ。 誰もがその存在を我が物にしたいと思っていた。 そこにブン太の突然の朗報とも言うべき提案。 『俺惚れ薬売ってる店知ってるぜ』 今回はその権利を賭け、トーナメント戦が行われる。 一行は学校のテニスコートに戻ると、 柳が用意しておいたトーナメントブロックを食い入るようにして見た。 誰もがその紙に集中していた。 だから気が付かなかった。 「何してるの?」 後ろから覗くその姿は紛れもなく彼女のもの。 「げっ!!」 「なによーブン太!その言い方」 「別に・・・・それよりお前何してんだよ。今日は練習休みだぞ」 「うん、そうなんだけどね」 「なんスか?それ」 が持っていた袋を赤也が指差す。 「あぁこれ。これから幸村くんのお見舞いに行こうと思って」 嬉しそうに話す彼女の頬は心なしか蒸気しているように見える。 「忘れてましたね・・・・」 「あぁ・・・」 「一番危ない存在だった」 ぶつぶつと何事かを言い始めた彼らに、は首をかしげる。 「よし、俺達も行こう」 ブン太の提案に全員が頷く。 大事なお姫様を取られてはかなわない。 「じゃあケーキ足りるかな」 の心配を他所に、彼らはすっかり準備をして歩き出していた。 惚れ薬は部室に眠ったまま------------
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