駅前の時計台の下、座りながら考えていた。
こーゆうのって何て言うんだっけな・・・・・。
楽しくて嬉しくてしょうがない気持ち。
もうすぐ彼女が来る時間。
待ち人
久しぶりに部活が休みになった。
明日は何をしよう。
自室に篭り、といっても兄ちゃんたちと共同だけど。
ケータイを手にした。
機能を考えればする事は限られてくる。
電話・メール・ネット
思い浮かんだ顔の主を小さな箱から見つけ出し、
電波で言葉を送ろうか、文字を送ろうか迷った。
「うー・・・・ん」
話すのはいいけど、沈黙がなぁ。
メールは時間が掛かるし。
意を決してボタンを押し、耳に押し付けた。
3度のコールの後、聞こえてきたのは聞きなれた彼女の声。
「あ、?」
「うん、英二?」
特定の相手にかけているのだから聞く必要なんてないのに。
いつだったかそんな話をしたような気がする。
「明日部活休みだからどっか行かない?」
「え?うん。いいよ。」
ぎこちない彼女の声は、敢えて聞かない振りをした。
クラスが違うから、話すことがいっぱいあるはずなのに。
ごちゃごちゃと絡まった言葉達が、喉で押し合いをしている。
言葉が出てこない。
「じゃあ・・・・明日!10時に駅前ね!」
がなんて返事をしたのか、全く覚えてない。
一方的に電話を切った。
---- 英二は緊張なんてしないでしょ?
言われた事があった。今の俺の状況を見てもそう言える?
「はぁ〜・・・・・緊張したぁ」
心臓はバクバクで、顔には嫌な汗かいてる。
握り締めたケータイはみしみしと音を立てて、まるで痛いと言っているかのようだ。
寝転んだ真上に見えたのは二段ベッドの天井。
「喜んでくれるかな」
ひそかに用意しておいた映画のチケット。
が好きだという映画だ。
気まぐれにこんなことしたらびっくりするだろうけど。
「たまにはね〜」
にししと笑って、体を伸ばすと
気分が明るくなった。
明日も晴れるといいな。
握り締めたケータイは熱を帯びていた。
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前回の『独占欲』シリーズ(?)です。
デートの前の日のキク。
一人でシドロモドロしてたら可愛いと思う。
遅くなりましたが・・・・・誕生日おめでとー!
04/11/30