彼女はその事実を受け入れているようやった。
彼と彼女の秘密 --2
『大丈夫そのうち慣れるよ ------』
あれ以来とは話していない。
同じクラスやのに・・・・と疑問に思った。
どうして同じクラスやのに一度も話せへんのや?
ちょっと考えれば分かることだった。
アイツは未来を見て、俺を避けてんのと違うんか?
部活に行こうかと準備をした所で、担任に呼ばれた。
「これを社会科資料室に戻してきてくれないか」
俺これから部活ナンデスケド・・・・
言いたい気持ちをぐっと堪えて笑顔で返事をした。
「そーいえばのヤツ昼休みから見てへんなぁ」
大きな地図を肩に担いで独り言を漏らす。
授業だけはサボッたという事はない、と思う。
「どこにおんねんやろ?こーゆうときに過去が見えなぁ・・・・」
ふと触れた壁から伝わってくるもの。アレだ!きた!
はココを泣きながら通った。
昼休みが終わった時だ。
映像が靄の掛かったように消えかけた。
「もっとちゃんと映せ!!」
必死に自分に言い聞かせる。
は走って・・・・・・「あっちか!」
俺は知らんうちに走りだしてた。
社会科資料室とはえらい場所が違うが、しょうがない。
には聞かなアカン事がたくさんある。
「教えてくれ!」
壁に触れながら、地図を抱え直し、走り出した。
「はどこにおんねん」
「ココ・・・・・か?」
それはもう使うことの禁止されている通路。
階段も廊下も古くなって、黒ずんでいる。
足音を立てないように歩く。
真っ直ぐの廊下を歩いて行くと、角に制服の端っこが見えた。
それからすすり泣く声。
の真後ろまで来ると、声をかけた。
「忍足くッ・・・」
泣いた所なんて見たこと無かったから驚いた。
俺はどうしたら良いか分からずに震える背中に触れようとした。
「触らないでッ!!!」
はその手を払いのけた。
俺はさらに驚いての背中を見つめる。
「せやかて、泣いて・・・・」
「お願いだから見ないで」
顔を伏せて膝を抱いている。その間にも漏れる嗚咽。
俺は居ても立ってもいられずに背中に触れた。
静電気のような衝撃が走って、映像が俺を包んだ。
それは一瞬で、すぐに消えてしまったけれども。
「助けようと・・・・・したんやな」
「怖がられてしもたんか?」
「それで自分責めてるん?」
は弱々しく顔を上げると、キッと俺を睨んだ。
「何も出来ないの!傷つくと分かってるのに何も出来ないのよ!」
「せやかて相手が話しを聞いてくれへんかったんやろ?」
「けど・・・・・助けられないんじゃこんな力あったって --------」
「何でこんな力が身についたんかは知らんけど」
「俺はラッキーやと思ってんねんで?」
嘘、とくぐもった声が聞こえた。
「嘘やあらへん。こっち見てみ?」
は再び顔を上げた。
「今まで辛かってんな?ひとりで」
涙で濡れた顔は再び濡れる事となった。
俺は地図を下に下ろすとを抱き寄せた。
「今だけは何も見せんといてや」
ふと優しさに触れた。
強そうに見えた彼女は実はとてももろくて。
俺が支えてやらなアカン ------
そんな使命感に燃えてしまった放課後の夕暮れ。
***
あれからだいぶ月日が経ちましたが・・
『彼と・・・・』続編です。
まだ続きそうな感じですね。
05/1/13