それはいつもの朝の出来事でした。 いつもの出来事 「遅れる・・・・・・ッ!!」 いつも通りに起きたのに、のんびりし過ぎた所為で家を出るのが遅くなってしまった。 肩からずり落ちそうなバックを持ち直して 息を切らしながら走る・・・・・・走る。 「こんな時に・・・・お手伝いさんでもいたら・・・・よかった・・・・・のに!」 帰宅部のわたしにとって、朝のマラソンほどきつい事はない。 やっと門が見えてきたところで、わたしは異変に気がついた。 肌寒いというのに、額から汗が流れた。 立ち止まると前方に見えたのは、人だかりだ。 「今日って・・・・なんかあったっけ?」 手の甲で汗を拭うと、人だかりに近づいた。 そこに見知った人物を見つけた。 「みきちゃん、何?この人だかり」 「あ、。おはよう!!」 心持ち興奮したように、顔を蒸気させてみきちゃんは振り向いた。 みきちゃんが関わってこうなるって事は・・・・。 「忍足くん絡み?」 「知らなかったの?今日が何の日か」 「そんなに近づかないでよ。怖いし。」 「忍足くんの隣の席ゲットしといて、知らないの!?」 「知らないの・・・・って。なにを?」 「忍足くんの誕生日!」 さらに前に進み出て、みきちゃんは言った。 「誕生日」 それを聞いて納得した。 この人だかりの訳を。 先生が女の子たちを抑えようとしても、その強さと言ったらない。 どこからそんな力が出てくるのかといった有様だ。 ふと見回すと、あることに気づく。 渦中の人物がいない。 「あれ?忍足くんは?」 「・・・・・え?さっきまでいたのに」 みきちゃんはきょろきょろと探し回っていたけど、 わたしは特別興味も無かったから下駄箱に行った。 後ろを振り返ってみると、女の子の勢いはまだ収まらなかった。 苦笑いを零して前を見ると、顔に衝撃が走った。 「ぶッ!!!」 よろよろと後ろにさがると、腕をつかまれた。 鼻を抑えて上を見上げると、そこに立っていたのは渦中の人物。 「あ、忍足くん」 「ぷっ・・・・なんて顔しとんねん。」 「だ、だって・・・・そうだ。誕生日おめでとう」 「取ってつけたような言い方やなぁ」 「そんなつもりはないんだけど・・・・・」 忍足くんは門付近にいるだろう女の子達を眺めた。 「今日は学校休もうかと思てん」 「え・・・・?でも来てるじゃん」 「俺が来ぃひんかったら寂しがる奴がいてるかと思てな」 にーと笑って、わたしを見下ろす。 それがなんだか分かるような気がして、照れ隠しにわたしも笑ってみた。 「で・・・・?」 「へ?」 手のひらを見せて、何かをねだっている様子。 もしかして。 「プレゼントはあらへんの?」 「プレゼント・・・・?なんで!?」 「それ結構傷つくんやけど」 「え!でも何も用意してないし」 じとっと睨んでから、忍足くんは何かを思いついたような顔をした。 嫌な予感がするんだけど。 「ならが隣の席だけやなくて、俺の恋のパートナーに・・・・」 「よくそんな恥ずかしい事言えるね」 「俺のチャーミングポイントや」 「チャーミングなの?それ」 「そのつもりなんやけど」 「でも毎日言われると慣れるよね、そのセリフも」 「そなら違うセリフ言おか?」 「いい。結構です。断じていりません」 手をぶんぶん振って断って、廊下を急いだ。 その後ろを忍足くんがゆっくり歩いてくる。 この距離を壊したくないから、今はこのままでいい。 いつか隣を歩いてみたくなったら。その時は。 わたしがその手を取りたいと思う。 ******* 遅れましたが、オッシーおめでとう! 誕生日ドリはありきたりになるからなぁ。 もう書けないと思います。 とりあえずおめでとう。 04/10/18
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