最後に聞こえたのはサスケの叫ぶ声だった。
痛いのかさえも分からず、わたしは倒れこんだ。
土の冷たさがやけに印象的だった -----------



















イロノナイセカイ




















「えぇ ------- 本人にはまだ言わない方がいいのでは・・・」
聞こえた声に遠のいていた意識が戻ってきた。
目を開けようとしたのに、開かない。どうしてだろう。


「サスケ ------- ?」
あの後どうしたのだろう。
任務であったあの時、わたしは運悪く敵に見つかってしまい襲撃された。














「見つかったか・・・・・」
5対1。勝てない数ではなかった。ちなみに敵が5人。
構えたものの、四方八方から狙われ気を抜けない状態だった。
皆はちゃんと逃げられただろうか。
例えわたしが掴まってしまったとしても、取り返した巻物だけは持ち帰って欲しかった。
そのための任務だったのだから。


5人のうちの1人が飛び掛ってきて、わたしは身構えた。
突然前に出てきたのが、サクラだった。


「サクラッ!!!どいて!!!」
サクラはどこうともせず、わたしの前に立ちはだかった。
前に2人、後ろに3人。


は後ろの敵を!!!!!1人じゃ多すぎるわ」
もう既に敵は目の前に迫っている。
どこに居るのか分からない仲間が出てこない事を祈りつつ、わたしも構えた。


1人がクナイをもって斬りかかってきた。
それを片手で交わし、足からクナイを取り出すと相手の胸に刺した。
嫌な叫び声を上げて敵が倒れる。
飛び掛ってきた相手に手裏剣を投げつけた。
あと1人 -----------


「きゃぁッッ!!!」



後ろからの叫び声にわたしは振り返った。
サクラが敵に首を締め上げられている。
「サクラッ!!!放せ!」
わたしは敵に向かって斬りかかった。
敵が倒れる。サクラを振り返った瞬間 -------------



-------------ッ!!」



視界の隅にサスケの姿が見えた。
わたしの名前を呼んで走ってくる。
こっちに来ちゃだめだ!必死にそう言おうとしてるのに声がでない。
わたしは意識を手放した。















「サスケ -------?」
もう一度名前を呼んだ。
聞き覚えのある声がしたので、里に戻ってきたのだと知る。
するとここは病院か?独特の消毒液の匂い。




「気が付いたか?
「その声は・・・・・カカシ先生?」
「あぁ・・・・・ここが何処だか分かるか?」
「病院でしょ?皆は?無事なの?」
「大丈夫だ。それより・・・・・」
「ねぇ、どうしてわたしの目開かないの?これ・・・・・包帯?」
わたしは目に巻かれた包帯を触った。目を切られたのか。



「サスケは?サスケも無事?」
「無事だ。ここに来させるから少し待ってろ」



カカシ先生がイスから立ち上がる音がした。
そして部屋を出て行く。
しばらくして入ってくる足音。


「サスケだ。足音で分かるよ」
体を起こしてみるも、サスケがどの方向にいるのか分からない。
・・・・・・・俺の所為だ」
「何が?コレ?これはわたしの所為よ。わたしが見つかったんだもの」
「違う。お前を守ってやれなかった。俺たちは先に進みすぎた」
「違うわ!サスケの所為なんかじゃない!」



サスケの荒い息遣いだけが聞こえた。
泣いているのか、怒っているのか。全然分からない。
どうしてこんなものつけるの。ねぇ外してよ -----------
わたしは包帯に手をかけると、スルスルと外した。
これを外したらサスケを慰めて、皆に元気な姿を見せなきゃ。




「ねぇ、まだ包帯外れてない?見えないんだけど・・・・・」
ッ・・・・・・」
「サスケ・・・・?」
「・・・・・・・すまない」
「ねぇ・・・・・・・・・もしかして」






狙われたのは目だった。まさか眼球までやられているとは。
頭から血の気が引くのが分かった。
いったんは頭が真っ白になったものの、決意は固まっていた。


「もう・・・・・見えないのね」
「あぁ・・・・・・」
「そう・・・・・・」



昨日まで歩いたあの並木道も。
綺麗だと一緒に眺めたあの空の色も。
わたしは全てを失ってしまったんだ。



「そう・・・・・見えないのね」



ッ・・・・・」
突然腕を引かれて、衝撃が走った。
でもそれは決して痛いものではなく -------
「サスケ・・・・・・」
抱きしめられているのだと分かった。




「俺がお前の目に変わって俺の目に見えるものを伝えてやる」
「サスケ」
「・・・・・・・・だから、泣くな」




力なく垂らしていた手を、サスケの背中に回した。
頬を伝った涙が温かくて、目が見えなくても涙は出るのだと。
そんな見当違いな事を考えていた。





「サスケの顔ずっと忘れないから」
サスケは何も言わなかった。
ただわたし達はそうやって何時までも抱き合っていた。



真っ暗な世界にただ1人。
光さえも入り込めないそこは、自分の姿さえ見えない。
けれどもサスケの声が、体温が知らせてくれる。



わたしはここに生きて、存在するのだと。
色を無くした世界に、ほんの一筋光が差した。

























初サスケですが、とても暗い話に・・・・・。
次はもっと楽しい話を!(汗)



05/1/16




















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