出来ることなら『神様』に、なりたかった―――――









光さす夜はそばに











知ってる、いつだって1人だったことを
知ってる、いつだって闇を抱えていたことを

我愛羅がどんな境遇にあったのか。
幼かったころ、何があったのか

「だからこそ触れるなって言ってんじゃん」

カンクロウの射るような目に、私は何も言えなかった。
「アイツは―――我愛羅は誰にも心を許したりしないよ」
闇が深まった森の中、私とカンクロウは隠れるようにそこにいた。
時折鳥が煩く鳴いて、まるで出て行けと、言われているようだった。

「知ってるよ」
「なら関わるな、ガキの頃の知り合いだってだけで」
「ただの知り合いじゃない!」
「――――悪かったよ」

いきなり怒り出した私に、カンクロウはバツの悪い顔をした。
ただの知り合いなんかじゃない、私はそんな風には思ってない。
知ってるくせに、我愛羅がどういう扱いを受けてきたのか。
あれは誰の所為でもなかった。そうならなければならないはずだった。
それを幼かった我愛羅に全部押し付けて―――――

「我愛羅に会って来る」
踵を返した私に、カンクロウは興味も無さそうに言葉を投げかけた。
「夜はやめとけ」
そんな言葉無視した。関係ない、ただ会いたいんだ。


月の一番近い場所、我愛羅はいつもそこにいる。
まるで自分の脅威を知らしめているかのように、影が屋根を覆う。
静かに、様子を伺いながら近づいた。

「何の用だ」

目を閉じたまま、我愛羅は抑揚の無い声で言った。
「見つかっちゃった」
姿を見せても、我愛羅は相変わらず腕を組んで目を閉じたままだ。
「なに、してるのかなと思って」
「何もしてはいない」
立ち上がり、側へと近づく。
我愛羅は人が寄る事を極端に嫌う。
けれども、一度も無碍にされたことはないと、思っている。
おめでたい奴だと言われてしまえばそれまでなのだけれども。
静かに、流れる風をそのままに受ける我愛羅を見ているのが好きだ。

「寝ないのか」

瞳がゆっくりと開く。
目を見るたびに、私は心が締め付けれるように痛い。
同情じゃない、これは決してそんな安いものなんかじゃない。
けれども、誰もが認めてはくれなかった。
お前が何故我愛羅と一緒にいるのか、教えてやろうか?

意地の悪い顔、思い出すだけで吐き気がする。
そう言った彼は、数日後遠征で死んでしまった。
罰が当たったんだ。理解も出来ないくせに、人を罵倒するから。

「我愛羅が起きてるから、起きてる」

我愛羅の顔を見ている筈なのに、どうしても視線は通り抜けてしまう。
怖いのだろうか。同情なら止めろ、とその口から言われるのが。

「俺は何もしないし、するつもりもない」

ただ、分かってしまう。
いつだって求めてるんだ、一度失ってしまった、愛情を。

「いいよ、こうやって月を見てるだけで」

我愛羅の視線に気が付いて、私も振り向く。
笑って見せる、我愛羅の表情は変わらない。

「好きにしろ」

届きそうな高さに月がある。
光がやんわりと注ぐ。

風が吹く、頬を撫でて、またどこかへたどり着く。
明るい月に照らされて2人、ただそれだけでよかった。























久々ナルト更新。
ずっと書きたかった我愛羅。
言葉より、雰囲気を楽しんで欲しい。











SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送